2021年08月31日

コロナ禍で脚光!IT先進国エストニア

コロナで真価を発揮したデジタル化

フィンランド湾に面した、バルト三国のうちの一つ「エストニア」。1,500以上の島々からなり、城や教会、美術館などが点在した中世の雰囲気を漂う美しい国です。九州ほどの大きさで人口は鹿児島県より30万人ほど少ない132万人が暮らす小国ですが、SkypeなどのITベンチャーが多く、オンラインサービスが行き届いたIT先進国という一面を持っています。住民登録から納税、会社登記、医療、教育、警察に至るまで手続きの99%がオンラインで完結しているので、このコロナ禍でも大したトラブルは起こっていないそうです。

給付金が振り込まれたのは申請承認から3日後!

エストニアでは給付金は、申請が承認されてからわずか3日以内には振り込まれたことは知っている方もいらっしゃるのでは。しかも、対象全者にはわずか2週間で給付が完了したというのです。(゚∀゚)ハヤイ! この一連の作業がスムーズに行えたのは、全国民に15歳から個人番号が割り振られる「ID制度」が導入され、国民は「e-IDカード」という電子IDをそれぞれで使って、様々な行政サービスを受けられる仕組みが整っているからです。パソコン本体の挿入口からカードを差すとパソコン使用者個人の存在を証明でき、個人番号とピンコード(e-IDカードを利用するための暗証番号)を通じて、その人に紐づけされた情報をいつでも取りに行くことができる仕組み。これにより、2007年にはオンライン投票が可能になり、
契約書類はペーパーレス化で電子署名でき、
納税などのオンラインで行う税申請は、たったの5分。
運転免許証、公的身分証明書、健康保険証、EU内パスポート、
さらに公共交通機関における購入済みの電子チケットもこれ一枚!
それぞれを持ち歩く必要がありません。

情報データは世界数か所のデータセンターに分散されているためひとつがダウンしても機能を維持できるようになっているそうで、国境という概念をとうに超えいる!!( ̄▽ ̄;)
「クラウド」という言葉が世の中に出る前から、クラウド的な運用を実現していたというわけですね。

カード紛失やデータ改ざんの可能性は?

万が一、そのカードを紛失しても、本人しかピンコードを知らない為、他の人に使用されることはありません。また、e-IDカードの使用をすぐに無効化し、新たにe-IDカードを発行してもらえば、データの安全性は保たれるというもの。さらにブロックチェーンがあることで、システム管理者でもデータを改ざんすることができないという完璧さ。利便性とセキュリティーを両立させているという素晴らしいものを20年前にすでに開発されていたなんて・・・。

日本のような書類の申請やハンコが必要がないことが羨ましい川田です。何より、e-IDカード1枚で多くのことが済むので、財布がカードで膨れ上がることがなくなれば地味に嬉しい!感動です!(゚∀゚)日本がエストニアのようになるのはいつの事でしょうか・・・10年先か!?

結婚、離婚、不動産登記以外はオンライン化

e-IDカードの取得は国民の義務であり、行政サービスの99%がオンラインで完結するエストニア。とは言っても、紙で申請しなければならないものもあります。

それは、「結婚」「離婚」「不動産登記」。

結婚、離婚の手続きがITで出来たら、勢いで安易に手続きしちゃいそうですもんね。結婚は勢いも多少必要かもしれませんけどね。( *´艸`)

ちなみに、「結婚と離婚は人間同士できちんと話し合おう、不動産は大きな買い物なので現物を見なさい」という理由だそうです。

電子国家に生まれ変わった理由

20年前にe-IDカードを使って分散管理されているさまざまなデータを安全に連携して利用できるシステム「X-Road」を最初に開発したエストニア。そこにはこの国特有の事情があったようです。当時は旧ソ連から独立回復して10年程度と日も浅く、予算が乏しい。そんな条件下で国を運営するには、全てが繋がるプラットフォームをつくれば、コストもかからないのでは、という議論から創られたそうです。国が生まれたときから効率化を迫られてたとはいえ、ペーパーレス化を実現するには大変だったと想像しますが、率先して国民に示した政府が素晴らしいですね!

X-Roadというインフラができ、そこに紐づけされたサービスやソリューションが増えていくことで、e-IDを日常で利用する人が増えていった。コロナ禍で突然〝新しい日常〟が始まったわけですが、エストニアの人々は20年前からその準備ができていたわけです。

あ!もしかして、日本のマイナンバー制度はエストニアをお手本にしたのでしょうか??(゚∀゚)そうだとしても、マイナンバーカードは自動処理できないので、まだ人の手が必要という状況ですが・・・。日本のデジタル化がもっと進んでいればコロナ禍でも安心して仕事をしたり生活ができると感じた方は多いのではないでしょうか。それにはまず、従来の考え方を取り除くことから始める必要がありそうですが一日も早く「高齢者にもわかりやすいIT化」が進むことを願うばかり。もちろん、「結婚」「離婚」「不動産登記」以外、ですけどね。 

 (売買コンサル部:川田)